
コミュニケーション能力のベースとなる「聞く力」|よく「聞く」ためのコツとは?
コミュニケーション能力と「聞く力」の密接な関係
コミュニケーション能力は、私たちが生きていくうえで欠かせないものだ。「生きること」そのものと言ってもいいかもしれない。
それでは、コミュニケーション能力とは一体何だろう?具体的な能力という側面に注目すれば、「読み、書き、聞き、話す力」と考えていいだろう。
ここでポイントとなるのが「聞き、話す」力。コミュニケーションとは、聞く・話すまで含んだものだということを改めて押さえておきたい。どうしても聞き、話す力は後回しになりがちだ。これは私たちが受けてきた教育の影響も大きい。読み、書く力は、小学校からある程度長い時間をかけて学び、実践してきた。しかし聞き、話す力は、ほどんどの人が体系的に学んだ経験はないのではないだろうか?
最近では小中学校の「プレゼンテーション」や「ディベート」の授業などで、話す力の育成が始まっているが、聞く力はそもそもスキルとして認識されていないのが現状だ。
私が聞く力の重要性に目覚めたのは、社会人になり記者として現場に配属された直後のこと。記者の仕事は「書く」ことだと思っていた。入社試験でも論文が重視されたし、研修でもそれはそれはたくさんの原稿を書いた。しかし、実際に現場に飛び込んでハタと気づいたのだ。
記者の仕事って、聞くことじゃないか!
と。
取材は、聞くことから始まる。とにかく聞く。おばあちゃんにも幼稚園児にも。
高齢化が進む村の特集のため、取材をしていた時のこと、本題は高齢のひとり暮らしの不安について聞きたいのだけれど、訪ねたおばあさんは、孫の話ばかりでなかなか本音を語ってくれない。でもその向こうにある何かに耳を澄ましてひたすら聞く。1時間、2時間が経ち
「具合が悪くても私ら病院にも行けないでしょ・・・」
とぽつりぽつり話しはじめた時、「聞けた!」と思う。
そんな時は、いい記事になる。逆に、よく聞けなかった取材でいい原稿になったためしはない。
今も取材を仕事としているが、「よく聞く」ことを常に心がけている。
なかでも、下記の3つは特に重要だと思うことだ。
よく聞くための3つのコツ
1. 興味関心を持って聞く
いきなり興味関心を持つのが難しいなら、きちんと相手に敬意を表して聞きたい。面白いもので、興味関心を持って聞くと本当に興味関心が湧いてくるのだ。興味関心が湧くと、話の内容も記憶に残りやすくなる。
2. メモを取りながら聴く
メモを取ること自体が「話を聞いている」というアピールになる効用もあるが、メモをすると記憶に残りやすいのは確か。聴いたことを整理する気持ちでメモを取るようにするといい。個人的には、罫線が入っていない真っ白なノートを使い、紙上で話を再構成するのがオススメ。
3. 相手の言葉を繰り返す
教育学の実習で「相手が自分の話をちゃんと聞いてくれている」安心感を、最ももたらしたものは「繰り返し」だった。繰り返すためには相手の言葉をまるごと聞く必要があるので、実際にはいちいち繰り返さなくても聞き方は大きく変わる。
日常的に行っているけれど、普段意識しないもののひとつが聞くことだと思う。ちなみに、「聞き上手」な人は「話し上手」でもあることが多い。聞くことからまずは始めてみるというのもいいかも。