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テクノロジーはコミュニケーションを変えうるか?|AIの進化から考える


FinTechやEdTechムーブメントとAI

ソフトバンクは2016年3月にも、ヒト型ロボットの「ペッパー」だけで接客するお店をOPENするらしい。期間限定とはいえ、ロボットだけで業務遂行しようとする試みに驚くが、これからはそう珍しいことではなくなるのかもしれない。

世の中を見渡せば、

金融×テクノロジーの「FinTech(フィンテック)」

教育×テクノロジーの「EdTech(エドテック)」

など、テクノロジーを掛け合わせることで既存業界の枠を打ち破り、新たな価値を生み出すムーブメントが活発になっている。

たとえば、FinTechに沸く金融業界。これまで銀行の独占市場だった「融資」や「決済」などの領域にベンチャー企業が進出。これまでより短時間・低コストでサービスが受けられるようになっている。
教育現場では、合格者の膨大な情報を解析して子供達に「今解くべき問題」をレコメンドするサービスも始まっている。

これらの背景にあるのが、テクノロジー、特にAI(人工知能)の活用だ。AIとは、人間の知能に近い機能を実現するコンピュータシステムのこと。最近の進化は目覚ましく、人間の脳を模倣し「自ら学ぶ」力まで身につけている。iPhoneに入っている「Siri」もそのひとつだ。

実用化も進んでおり、店舗窓口やコールセンターではすでに「ペッパー」などのロボットが大活躍している。情報処理といった裏方だけではなく、「相談する」「販売する」といった顧客とのコミュニケーションのフロントに立つ時代になったというのは大きい。

テクノロジーはコミュニケーションを変えうるか?

それでは、そういう時代にコミュニケーションはどう変化していくのだろうか?

取材や執筆を仕事にしている私としては、テクノロジーとコミュニケーションの関係性は最も関心があるテーマだ。ロジカルで確度の高い文章をAIが書くようになったら、記者という仕事は消えてしまうのだろうか?(すでに文書作成ソフトで自動で記事を書く通信社も出てきているし)そのほかにも、たとえばコンピューターで子供達が勉強するようになったら先生は必要なくなってしまうのだろうか?

答えはノーだ。

「人はより人らしいことに専念する」というのが未来のあるべき姿だと思う。

たとえば、「創造力」などは人間ならではの強みではないだろうか。AIは必要な情報を効率的に聞くことはできるかもしれない。しかし、取材をしている最中に相手が口ごもった瞬間、「あれ?」と気付けるのは記者の力。だからこそ、当初用意していた質問とは異なる質問をしたり、順番を変えたりして、より深い記事にすることができる。AIは前後の文脈がつながっていれば、言葉にならない一瞬の間は意味のないものとして処理するだろう。また、AIはロジカルで正しい文章を書けても、エモーショナルに訴えかけるためにあえて文章構成を崩すことなどは苦手だろう。

AIは人間の知的能力である「読み、書き、聞き、話す」といったコミュニケーション能力をスキルとして身につけたが、自らの経験に照らし合わせたり、組み合わせたりといったことは苦手だ。先の取材の「不自然な間」についても、私自身誰かに教えてもらったわけではない。たくさんの取材をするうちに身についた「経験」や「勘」のようなものが働くのだ。だからこそ、私たちはコミュニケーションの経験を積み、力を磨き、私たちにしかできない仕事をし続けていくしかないのだと思う。

もちろん、技術の進歩は日進月歩なので、いつかそれらもクリアする日がくるかもしれないが、個人的には難しいのではないかと考えている。それよりもAIの能力は、人間ができないこと、危険なこと(防災など)に活用していくのが望ましいのではと思っている。